導入事例Introduction Example

実店舗+ネットスーパー、ウォルマートグループ初のハイブリッド店舗が都内に

Last Update 2017.1.27

急増するネットスーパー需要に新戦略で対応

 合同会社西友は、日本国内で北海道から九州までの幅広いエリアをカバーする店舗網を有し、食料品・衣料品・住居用品などを取り揃えた売場を運営、「価格」「鮮度と品質」「品揃え」「利便性」という4つの価値をバランスよく提供しながら、営業力、商品調達力の強化に取り組んでいる。

 近年同社はEコマースにも注力。 (株)ディー・エヌ・エーと協働で運営するSEIYUドットコム(https://www.the-seiyu.com)において、近隣店舗から配送する「ネットスーパー」と、全国配送可能なサービス「SEIYU 倉庫館」の2種類のサービスを並行して進展させており、2015年度は売上高も前年比30%増と大きく伸長させてきた。そして2016年度は、親会社であるウォルマートのグローバル戦略である「Physical & Digitalの融合」を踏襲。日本においても「店舗とネット」の両方のチャネルで顧客のニーズを反映させた「最適なお買いもの環境を提供する」ことを目指して、新たなネット時代の店舗展開戦略を進めている。

(左)ネットスーパーとSEIYU倉庫館を展開するSEIYUドットコムのトップ画面 (右)ネットスーパーのトップ画面

(左)ネットスーパーとSEIYU倉庫館を展開するSEIYUドットコムのトップ画面
(右)ネットスーパーのトップ画面

 

 これまで同社のネットスーパー展開においては、本来の機能である利便性はもちろんのこと、実店舗と同様「どの商品も低価格である」という点が、節約志向の高い顧客ニーズに合致したようだ。事業は昨今、急速に拡大を続けており、とりわけ既に多くの店舗を出店し低価格イメージが浸透している都市部においては、その傾向が顕著に現れていた。そこで「届けて欲しい時間に注文ができるようにしてもらいたい」という顧客の声を踏まえ、今後は店舗の環境に合わせてネットスーパー機能を柔軟に拡大させる方針を決定。

 受注・配送能力を強化していくほか、既存店のみならず新店においても、実店舗への需要と並行してネットスーパーの需要も考慮したエリアへの出店や、両チャネルのオペレーション効率を重視した店舗設計を展開していくことにした。

2階フロアをネット専用に初のハイブリッド型店舗

 こうした同社の新しいコンセプトに基づく新店の第1弾として誕生したのが、1階は通常のスーパーマーケット店舗、2階にはネットスーパー専用のスペースを持つという、ウォルマートグループ初の「ハイブリッド型店舗」である西友豊玉南店だ。同店は東京都内で77店目、全国では343店目にあたる店舗で、1階の実店舗を本年6月2日から営業開始したのに続き、ネットスーパーサービスも6月17日から本格稼働させている。

 同店は人口集積度が極めて高く、実店舗の需要に加えネットスーパーの需要も大変高いエリアに位置する。この地域から都心部に向けた一帯では数年来、需要が過熱気味で既存店の受注・配送能力では間に合わないことから、十分にニーズに応え切れない状況が続いていた。そこで今回、大きな受注・配送能力をもつ同店を新設することで、周辺の顧客のみならず高田馬場・目白等の都心部まで広範囲なエリアをカバーできるネットスーパーの体制を整えることにしたのだ。

 前出・ウォルマートのグローバル戦略「Physical & Digitalの融合」コンセプトに基づき、同店はネットスーパー専用の在庫を持つのみに止まらず、そのスペースの中で効率良く作業できるレイアウト、オリジナル什器、オリジナルカート等を導入するなど、限られたスペースの中で収益性も限界まで高めている。なお西友豊玉南店は西武池袋線練馬駅から約1.3kmと、鉄道駅直近の店舗展開が多かった同社の従来店舗とは異なり、駅からは若干歩く距離にあるが、都内屈指の交通量をもつ環状7号線沿いの立地。SEIYUロゴの看板が輝く、新築の建物自体は西友としては比較的コンパクトな印象でもある。

 同社のハイブリッド店舗のポジショニングについて補足しておくと、まず基本になるのは来店顧客のみを対象としていた従来の実店舗。そして実店舗の姿はそのままに、売り場からピッキングを行う形でネットスーパーの出荷機能も併設したのが複合店舗。これらに対して、実店舗の建造物にプラスして配送センターとなるネットスーパー専用フロアを備えたのが、今回のハイブリッド店舗という位置付けになる。

西友豊玉南店の概要

店舗名 西友豊玉南店(東京都内で77店目、全国で343店目)
オープン日 2016年6月2日
住所 東京都練馬区豊玉南2丁目24番5号
売場面積 500m²(1階)
営業時間 24時間営業
休業日 年中無休
駐車台数 14台

全商品の10%に当たる高頻度商品が整然とストック

 2階のネットスーパー専用フロアには整然と専用棚が配置され、アイテム数としては全商品の約10%程度にあたる高頻度注文商品がこの専用棚にストックされる。この売れ筋商品のラインナップ、更新頻度などは公表していないが、合同会社西友ドットコム事業本部オペレーションエクセレンス新サービス企画ダイレクターの寺本中氏によれば、「例えば夏なら水などの飲料系に需要が集中しますし、ペーパー類は年間を通して恒常的に売れ筋をキープするなど一定の傾向はありますが、リアルな売れ筋情報データは随時チェックし、適切なタイミングで最新の売れ筋に更新していきます」 という。これら以外の生鮮食品、冷凍食品、中・低頻度商品等は、注文をまとめて1階の実店舗棚からピッキングしてきて、一時保管する方式だ。

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(左)高頻度注文商品が並ぶネットスーパーの専用棚
(右)生鮮系など中・低頻度商品等は実店舗の商品を共用する

 

ピッキング作業の際に活用されるのが、4つのオリコンを積載し、4件分の注文を同時ピッキングできるオリジナルカート

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スペース的な制約の強いネットスーパー専用フロアの中でも効率的に使えるよう、「不使用時はワンタッチで折りたためてスリム化できる設計になっています」(寺本氏)という。なおこのオリジナルカートはハイブリッド店舗のみに設置されるスペシャルな機器でもある。

■非使用時は右のようにスリム収納

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■折りたたみもワンタッチのイージー操作と使い勝手にも配慮

折りたたみもワンタッチのイージー操作と使い勝手にも配慮

 

 また、同店でピッキングスタッフが使用するハンディターミナルは既存店と同一機種ではあるが、ネットスーパー対応仕様として、一度に4件分の注文について最短の距離でピッキングできる順番を表示する新機能を備えている点も見逃せない。これによって「ある棚でピッキングしてから元居た場所に戻って別のアイテムをピックアップする……といった無駄な動きを排し、一筆書きの移動で4件の注文を一気に集められることから、劇的にピックアップ効率を向上させることができるようになります」(寺本氏)という。

4件の注文先を同時進行で処理できる機能を追加したハンディターミナル

4件の注文先を同時進行で処理できる機能を追加した
ハンディターミナル

 

 取材陣向けにピッキングのデモを行っていただくと、ピピっと商品をスキャン認識してケースに入れる様子は見慣れた風景ではあるものの、オリジナルカートに上下2個ずつ乗せられたオリコンへ手際よく別々に振り分けつつ、床にマーキングされた矢印に沿うようにぐるりと進んでピックアップしていくプロセスは、同じ動作を4回繰り返すよりはるかに省エネでスムーズなことが想像できた。

基本進行方向に沿って,一筆書き移動で4件分を一気にピッキング

基本進行方向に沿って、
一筆書き移動で4件分を一気にピッキング

ハイブリッド店だけに限定されない多彩なグローバル戦略

 この同社初のハイブリッド店舗は、スタートから当面の間は2時間ピッチの1日6便体制でオペレーションされるが、秋を目途に11便体制に増強していく計画だ。また最新式の店舗にはネットスーパー配送トラック専用の出荷ドックも整備しており、2階の専用フロアから注文品を搭載して降りてきたエレベーターの直前に車両を配置し、スムーズな積み込みができる設計。しかもエレベーターは両側開き構造で、荷物の出入りの際にピストン移動が必要なく一直線の動きで効率的に行える工夫もされている。

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(左)ネットスーパー配送トラック専用の出荷ドック
(右)ワンウェイの動きで効率的な積載作業

 

 駐車エリアには、出荷のタイミングの集中にも考慮して、ネットスーパー配送車専用のパーキングスペースも2台分確保され、さらに店舗への搬入車輛が不在の時間帯にはそのスペースにも停車できるなど、狭い都心部でのクイックな宅配体制を強化する臨機応変な工夫も、ハイブリッド店舗ならではのものといえるだろう。

 1階に場所を移すと、そこは見慣れた西友の店舗。もしネットスーパースタッフが前出の専用オリジナルカートでピッキングしていなければ、ハイブリッド店舗だとは気付かないかもしれない。ただ、実際にはスペースの限られた都心の店舗ゆえに通常店舗よりもかなりコンパクトな設計となっているそうで、「取扱商品は5,000〜6,000SKUですから、西友としてはかなり少ない品揃えではあります」(寺本氏)という。

実店舗には床の矢印マーキングはないが,ピッキング指示が一筆書き移動なのは変わらない

実店舗には床の矢印マーキングはないが,ピッキング指示が一筆書き移動なのは変わらない

 

 同店では以上に紹介したような、作業効率を高める様々な施策を取り入れることで、受注・配送能力を通常の3〜4倍にまで拡大させており、これまで需要がありながら見送らざるを得なかったニーズに積極的に応えていく方針だ。また、同社の今後の戦略はハイブリッド店のみに限定されるものではなく、エリアや状況に応じたスタイルで、柔軟にネットスーパー事業を展開していく考え。事実、豊玉南店に続く2016年の新店舗展開の第2弾は、同じ東京エリアでこの10月27日にオープンしたばかりの滝山店だが、ここはネットスーパー機能も充実させているものの、同社カテゴリーではハイブリッド店舗ではなく複合店となる。

 新時代のネット需要を着実にフォローしながらも、その具体的な手法や規模については、複数の選択肢の中から臨機応変に決定していく。ウォルマートグループならではの迅速かつ着実なグローバル戦略の強さの秘密は、こういった部分にもありそうだ。

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