導入事例Introduction Example

国際エクスプレスの現場にスマート端末、機能性と拡張性を大幅向上

Last Update 2022.2.7
DHLジャパンが ゼブラTC55を900台導入!

グローバル共通ハンディ端末を刷新

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長嶋伸雄執行役員

DHLは世界220以上の国・地域に事業を展開するロジスティクス業界のリーディングブランドで、国内・国際小包配送、国際エクスプレス(国際航空貨物運送)、陸上・航空・海上輸送から、産業別サプライチェーンマネジメントまでを展開する世界有数の国際企業。
32万5,000人以上の従業員を擁し、多様なロジスティクスニーズに応えるソリューションを提供しているのは周知の通り。ドイツポストDHLグループ全体の2014年売上は560億ユーロに達する。

そのうち今回焦点を当てるのは、国際エクスプレス部門の日本法人で、30kg程度の小型貨物を24〜48時間以内のスピードで世界に届ける国際航空輸送サービスを提供している(図表1)

「世界220か国・地域とのネットワークを持っていますが、日本法人の扱いはやはり対アジア圏が一番多く、全体の約6割を占めています」とDHLジャパン執行役員でI.T.本部長の長嶋伸雄氏は話す。
「近年は世界的にもアジア新興国の成長で物量がアジアにシフトしており、日本法人の売上は通販などB2C個人客の増大もあり堅調です。当社のインフラにとっては30kg程度の小さ目の貨物が一番効率的ですが、最近は大型化・重量化していますね」
今回の焦点は、DHLエクスプレスがグローバルに無線ハンディターミナルをゼブラ・テクノロジーズの最新機種「TC55」に刷新することを決めたのに伴い、日本法人でもパイロット導入が開始されたことだ。本機の新機能には大きな注目が集まっている。

DHLジャパン株式会社の会社概要(図表1)

本社所在地 東京都品川区東品川1-37-8
サービス開始 1972年6月(DHLグループ日本支社として)
日本法人設立 1979年8月
資本金 5,000万円(ドイツポストDHL100%出資)
代表取締役社長 山川丈人
DHLエクスプレス・ジャパンの概要
日本人代表 山川丈人
国内拠点数 177(ゲートウェイ:3か所、ディストリビューションセンター:1か所、サービスセンタ ー:29か所、ビジネスセンター:1か所、営業所:1か所、 デポ:1か所、サービスポイント:141か所)
ネットワーク 220以上の国・地域で12万か所の仕向地をカバー
1週間あたりの輸送便数 300(コマーシャルフライトおよび提携フライト含む)
車両数 710台
従業員数 約1,700名
顧客数 62,000社
日本におけるゲートウェイ 成田、中部、関西
リージョナルハブ 香港(グローバルハブ)、上海 バンコク、シンガポール

世界標準機種としてゼブラTC55を採用

dhl_img03「DHLエクスプレスのサービスはドア・ツー・ドアの集荷・配達がメインですが、付加価値として約束した日数でお届けすることと、現在状況の<見える化>サービスを重視しています」(長嶋氏)

同社では各地のチェックポイント、つまり集荷時はもちろん、施設の発着時、輸出入通関と航空輸送を経て、到着国での配達までの各プロセスで、荷物のバーコードをスキャン。トラック&トレース情報として15分以内に顧客も見られる状態にしている。現在自分の荷物が世界220か国・ 地域のどこにあっても、ほぼリアルタイムに確認できるから、顧客は常に安心できる。
世界約35,000人のクーリエ(同社では集荷・配達担当のドライバーをこう呼ぶ)全員が端末を持ち、日々数百万の荷物のバーコードスキャンを励行してきた。かつてはリージョンにより違った端末を使っていたが、8年前から当時のシンボルテクノロジーズ社(現ゼブラ・テクノロジーズ)の新型端末に統一。グローバル標準デバイスをグループ各社が共通使用する体制とした。

「国際サプライチェーンにおいて、端末にも各地で共通のアプリケーションを使い、どの地域でもメンテナンスに対応して頂けるようグローバルベンダーの機種を選んだのです」 と長嶋氏は説明する。しかし「継続的な技術革新」を掲げる同社はその第1世代に続き今回、第2世代としてゼブラ・テクノロジ ーズの Android 搭載業務用タッチコンピュータ「TC55」を世界標準機種として選定、昨年末からグローバル導入を開始した。日本でも総代理店のアヴネットを通じて発売開始され、車両710台に対し予備を含め900台の購入を決めた。DHLジャパンではクーリエをグローバル基準でトレーニングした上、この6月から品川区の中規模現場にTC55を21台、パイロット導入した。以下に実際の使用状況を確かめつつ、同社が特に評価するTC55の特長・ポイントを見ていこう。

集荷・出荷荷物をもれなくスキャン

昼過ぎに成田空港から当拠点に到着した品川区・大田区向けの貨物。
フォークリフトで運ばれたボックスパレットを開梱し、荷物をコンベヤに降ろしてからコンベヤ上で方面別に仕分ける。
ここでTC55が活躍を開始する。

携帯電話感覚で手軽、高い拡張性

TC55はスマホ並みのサイズで女性でも操作が楽

▲ TC55はスマホ並みのサイズで女性でも操作が楽

ここでスタッフが、荷物のバーコードをTC55で次々にスキャン。物流ユースに適した防塵・防水・堅牢仕様(1.2mの耐落下衝撃テストもクリア)でありながら、携帯電話がバッテリーで少々厚みを増した程度のハンディサイズ。重さも専用プロテクター付きで先代の1/3(660g⇒220g)と大きく軽量化されたので、女性でも楽に扱える。中身もAndroid OSでまさにスマートフォン感覚のアプリ開発ができるため、機能拡張性も大きいのが強みだ。

電子サインシステム

タッチスクリーンに指先で漢字も簡単に書ける

▲ タッチスクリーンに指先で漢字も簡単に書ける

DHLでは前代の端末からスライサーによる「電子サインシステム」を導入し配達時に活用、世界で画像を共有可能にしていた。日本でいう「判取り」の受け取り証明である。ただし1つ問題があった。英語などの場合、筆記体で一度書き始めたら最後までペンを画面から離さず書けるのに対し、一角ずつ書く漢字は書きにくかったのだ。それがTC55では4.3インチの大画面タッチスクリーンに、指先で離しながら書けるようになり、飛躍的に改善。顧客にも好評とのことだ。

モバイルネットワーク対応

従来は構内無線LAN限定だったのが、携帯電話機能でインターネットにモバイル連携が可能になったので、さらに拡張性が高まった。同社では今後、ナビゲーション用にグーグルマップを活用するなど、必要なアプリを取り込んでいくことを検討中。サービスのさらなる改善につなげるからだ。

NFCで情報連携

NFCで情報連携

▲ NFCで情報連携

現場作業は午後、もう一便輸入貨物が到着し、配達を行う流れになる(夕方には集荷した荷物を逆に出荷する)。この時、配達に回ったクーリエが全員、拠点に戻ってくるのでは、移動時間がムダになり排出CO2も増える。これがTC55の導入により抜本的に改善された。
グループの最小限の人員だけが拠点に戻り、他のクーリエ分の荷物と一緒に配達情報もTC55に吸い上げてからメンバーと合流。端末同士を近づけるとゼブラ端末初のNFC、つまりPASMOやSuicaなどの鉄道系カードと同じRFIDの通信機能により、瞬時にデータを転送可能になったのだ。

他にもTC55には、複数ユーザーログインで1台を複数スタッフで共有可能、各人の使用実績や販売履歴追跡など管理機能が充実、スマートデバイスながら1D・2Dバーコードをレーザースキャナのスピードで正確にスキャン、屋外使用を可能にする3GLTEやBluetooth4.0も標準搭載、等の特長がある。

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