導入事例Introduction Example


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ハードからソフトまでの総合力で自動認識のトータルソリューション

Last Update 2022.2.7

フォーチュン500の95%以上がユーザーに

──“物流コネクト”の基盤技術の1つ、自動認識分野のグローバルプレーヤーであるゼブラの新たな取り組みについて、池田様にお話を伺います。貴社のビジネスの現況からお聞かせ下さい。

池田:グローバルのビジネス概況は、円ベースで売上4,000億円の規模で81か国に122のオフィスを持ち、従業員は約7,000名に上ります。弊社は直販を基本的に行っていませんので、運輸、物流、流通、製造等いろいろな業界を含め合わせて約100か国に1万社に及ぶチャネルパートナーのネットワークを展開し、製品を提供しています。
現行の実績では、モバイルコンピュータ、バーコードスキャナ、RFID、バーコードプリンタがグローバルでシェアトップ。自動認識分野で必要な製品を1社でトータルに取り扱っている企業では世界No.1だと自負しています。一方日本市場での展開はまだまだで、今後さらにシェアを拡大して行きたいと考えています。

──多様な業界分野を扱う中で、ロジスティクスの売上比率はどの程度ですか?

池田:Eコマースを物流の中に含めた場合、ざっくり見て30〜40%程度になるでしょう。競合他社との最大の違いは、フォーチュン500の企業の95%以上のユーザーに製品を使っていただいてきた実績があり、そうしたお客様のニーズを汲み取り、R&Dに落とし込み、市場が必要としている製品開発を毎年続け、市場をリードする製品を送り出してきた点です。毎年売上の10%をR&Dの投資に当てています。

──日本市場向けの物流,EC関係で展開している注力製品やソリューションをお聞かせ下さい。

池田:近年、日本の業務用ハンディターミナル市場で業務用スマートフォンの需要が拡大している背景の1つは、Windows OS が2020年にメインサポートを終了し、最終的な延長サポートも2021年4月に打ち切られ、特にセキュリティ等のサポートが受けられなくなることです。日本でも小売業界ではすでに AndroidOS へのシフトが進んでいますが、物流や製造では依然として Windows ベースの OS と、各メーカーの作った独自OSを採用しているケースが多いのが実態です。
このため、日本のお客様には業務用スマホ端末の場合、OS の選択肢に Android OS と iOS の2つの方向性があります。ただし iOS はバージョンアップのスピードが早く、ソフト改修が頻繁に必要な点が懸念される一方 Android OS のセキュリティ性の高さ等から、やはりAndroidを選ぶお客様が今後もさらに増えることが予想されます。
弊社は競合他社に先駆けて2011年から Android 端末の開発・製造に着手しました(図表1)。
日本での販売状況を見ると、2015年当時はまだ Windows CE 端末の売上比率が61%と高かったのですが、2017年には Android 端末の販売が70%に拡大しており、Android OS へのシフトは明確に進んでいると見ることができます。
業務用スマホ端末のメリットは、カメラ機能や無線トランシーバの機能、スキャナ機能等、従来は別々の端末で使われていた機能が1つの端末に集約されるようになったため、コスト削減はもちろんのこと、ドライバーや作業者が複数の端末を持たずに済み、業務負担の軽減にも貢献できること。
また、Bluetooth や NFC を搭載することで,モバイルプリンタや RFID、倉庫での入荷検品作業用のリングスキャナ等の各種機器とのデータのやり取りをはじめ、社員証の読み取りや病院のバイタル機器での体温や血圧等の測定データの保存・照合等の用途等、まさに“物流コネクト”を実現するための重要なツールとなっています。

図表1:ゼブラ・テクノロジーズのAndroid端末(自社開発)
※ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供資料より本誌作成

最新のAndroid OSに対応した機器をエンタープライズグレードにセキュリティを引き上げ提供

──様々な選択肢がある中で、ゼブラの製品が世界で支持される理由は何でしょうか。

池田:弊社の携帯端末は大手顧客に多く使われていますが、その理由の1つはまず品質、もう1つはセキュリティ性です。業務用のAndroidOSに関しては、2012年からグーグルと戦略的パートナーシップを結び、コンシューマグレードの Android OS をエンタープライズレベルに引き上げるカスタマイズに取り組んでいます(図表2)。
例えば、グーグルが標準で提供しているセキュリティパッチに弊社が独自に開発したセキュリティも応用しています。
また、Android OS のバージョンが新しくなっていますので、最新のスマホ端末「TC51」では Android のバージョン 6/7/8 と3世代に対応しています。そのために常に情報を共有し、端末に求められるCPUのスピードやメモリの性能を変えていく必要があります。弊社の場合は3世代に対応可能な最新CPUを使って端末を組み立てている点が競合他社との大きな違いです。3世代に対応することで、バージョンが変わるごとに端末を買い換える負担が減るメリットがあります。いずれバージョン9/10に対応した製品を投入する予定です。

図表2:ゼブラとグーグルとの戦略的パートナーシップ
※ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供資料より本誌作成

◆今後のAndroidのリリースにおけるZebraとGoogleのコラボレーション→ZEBRAが行っていたカスタマイズをOSの標準機能として取り込み、リース前の早い段階でOSを提供してもらう等協業
◆企業向けGoogle Cloudなど、両社で共同してのテスト
◆GoogleとZEBRAが共同で、マーケティング活動を実施
◆GoogleとZEBRA共同でお客様を支援(TC5Xは3世代OSサポートAndroidTM 6,7 ,8 搭載 ! )

──一方で業務用の堅牢型ではない一般のスマホ端末を安く使用するユーザーもありますね。一般のスマホはたしかに脆弱だが壊れても安いからまた買えば良いという考え方です。

池田:ええ、そうしたお客様の中で、逆に今ちょうどスマホから弊社の端末に切り替えさせていただいているお客様もあります。コンシューマプロダクトだと、バッテリーの劣化や、落下して液晶画面が破損するなどの故障、バージョンアップへの対応はどうするのかなどを全部勘案すると、正味どんなに長くても使える期間は3年です。それが弊社製品でサービスコントラクト(サービス規約)に加入していただくと、故障した時の修理やソフト改修等を含めた費用負担も不要になります。さらに本来の機能でバーコード読み取りスピードの速さなど使い勝手の良さなどを加味して計算してみると、単価は安いスマホの方がトータルでは高くなるというシミュレーション結果も出ています。
確かに Android が主流になってきた時に、普通のスマホでいいのではという声はありましたが、お客様によっては安かったけれど結局高い買い物をしたとの反省から、切り替えていただいているケースがあるのです。
また iOS と比較すると、今 iPhone はどんどん値段が高くなっていますね。弊社の端末は市場価格ではともかく、大口で使っていただけるお客様等はほぼそれに近い値段まで下がる場合もありますから、以前と比べて価格的な違いはなくなりつつあります。

米国では店内監視用途で次世代RFIDを提供開始

──RFIDの取り組みもお聞かせ下さい。

池田:RFIDソリューションとしては、ハンディタイプのリーダライタやゲート等に使用する固定式のリーダライタ、RFID専用プリンタ等までをラインナップしています。さらに米国では、店舗にカメラがセットになったリーダライタを設置することにより、店内の商品がどこにあるかは常時監視し、何がどこに動いたかカメラとRFIDリーダで瞬時に検知できる次世代RFIDの提供も開始しています(図表3)。
弊社ではRFIDに特化したパートナー様が20社強ありますので、タグの発行から,読み取り方法はハンディでもトンネル式リーダでも対応でき、最終的に店舗配送する工程等、物流管理部分でのソフトウェアも含め、パートナーがエコシステムを組んでトータルで提案できる仕組みを作っています。まさに世界で唯一のRFIDトータルソリューションプロバイダーだと自負しています。

図表3:ゼブラ・テクノロジーズのRFIDソリューション
※ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供資料より本誌作成

そのほか特徴的な取り組みとしては、欧州メーカーのコンフィデックス社とタイアップして、金属対応タグ「Silverline」シリーズを提供しています(図表4)。従来は固定型だった金属タグをラベル化することによって、情報を弊社のプリンタで瞬時に書き込みながらエンコードも行える。このため,従来のようにエンコードで1個1個リーダでデータを書き込む手間がない点が大きなメリットです。IPのレベルでは60を越え、最長で6mは電波が飛びますので、屋外使用にも十分に対応できます。
サイズは4種類取り揃えており、今はPC等のIT機器やガスボンベの管理等の用途で採用されています。

図表4:金属対応RFIDタグ「Silverline」の種類と用途
※ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供資料より本誌作成

──なるほど、自動認識技術を全方位カバーする総合力が御社の強みですね。

池田:その通りです。もう1つはEAI(エンタープライズ・アセット・インテリジェンス)、つまりハードウェアとつながるソフトウェアやアプリケーションもソリューションの1つと捉えている点も弊社の強みです。
例えば、高性能ソフトウェアを備えた3Dビジョンセンサ「SmartPack(スマートパック)」を現在海外の物流に提案しています。物流会社様が貨物をトラックに積む際、日本では正直、隙間がないように積み方をかなり慎重に取り組みますね。一方で海外では何がどこに入っているか、積み方もバラバラでさほど効率的な運び方ができていません。
そこで荷台にカメラを置いて何がどこに積まれたか、1個1個記録することで、最終的に積み方の効率化も含めて、何がどこにあるかがすぐ判別できるシステムを開発しました。米国では、物流会社でテスト的な運用を進めており、欧州でも引き合いが増えています。日本では日本のユーザーのご意見も伺いながら提案していきたいと考えています。
このようにハードだけでなく、ソフトウェアの観点からも、ソリューション提案のスタイルを突き詰めていこうと米国本社では取り組んでいます。

ソフトウェアでは「見える化」に注力

──そうしたソフトウェア面で注力している取り組みが他にもあればお聞かせ下さい。

池田:位置情報管理、ロケーションソリューションという形で、日本も含めたアジアで、弊社独自で Bluetooth のタグをもとに、物流センターの構内に何がどこにあるかというロケーションが判別できる仕組みを準備中で、今後日本での需要も積極的にヒアリングしながら提案したいと考えています。
モノの位置管理はもちろんですが、人の位置管理という点でも、例えば病院の看護師が今どの場所にいるかが分かるシステムとし、米国ではテストも行っています。このロケーションと Bluetooth だけでは、何がどこにあるかというだけなのですが、それに RFID を組み合わせ、個別のモノの管理も一緒に行っていくソリューションも開発しています。
Bluetooth の通信距離は5〜10m程度。日本でもロケーション管理分野でいろいろなメーカーが提案していますが、実は欧州メーカーからのOEM供給がほとんどです。弊社では独自技術の提案をさせていただく考えです。

また、OVS(Operational Visibility Service)と言い、製品の見える化(図表5)にも力を入れています。例えば、携帯端末1,000台が10か所の拠点や店舗等で100台ずつ使われている場合、実際の端末の稼働率や故障率の見える化ができておらず、IT管理者は何がどこでどういう割合で使用されているか分からない状態です。そこで各端末からデータを収集して、サーバに上げて情報を取って分析できるアプリを開発しており、このシステムは物流分野にもご提案していきたいと考えています。

図表5:OVS─携帯端末の運用見える化
※ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン提供資料より本誌作成

──最後に、代表としての今後の抱負をお聞かせ下さい。

池田:日本の物流は非常に出来上がっている部分がある半面、まだまだ開発できる余地もあると思います。少子高齢化が進む中で、アパレルやリテールを含め物流をどうしていくかが大きな課題になる中、弊社の製品がどう貢献できるか、海外の先進事例も含めて日本に落とし込んでいきたい。また、日本の需要を米国本社に伝えながら、ゼブラ全体で何ができるのか、製品を通じて検討していくほか、マーケティング面にも注力していきます。
RFID は物流、製造、流通の区別なく、非常に伸びる市場だと見ています。中国やインドでも RFID への注目度が高まる中、特に日本市場への期待度が米国本社は非常に高い。来年再来年に向けて、新製品をどんどん投入していきたいと考えています。

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